占い・予言・自由意志

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前回の「占いは何故当たるか?」の続き。

占いでも、予言でも良いんですけど、まだ起こっていない人や世界の将来について言及した時、どうして人がその運勢に従って動いていくのか…?

例えば、天気予報。
これは、現在の観測地点の気圧や気温などから、未来の天候を予測します。
純粋に物理的な相互作用から、将来の状態を計算するということです。
バタフライエフェクトみたいな話はあるけれども、基本的には、情報を細かく、精密に行うことで予測は正確になっていきます。

じゃあ、人の運勢・運命はどうなのか?

人には「自由意志」があるということは、普通に言われていることだし、日々の生活は、色々な意思決定の繰り返しであるということも、まあ疑いの余地はあまり無いのではないかという気もします。
では、そんな、自由意志で動いているはずの人間が、占いや予言を気にするのは何故なのか?「〇〇歳で結婚します」とか「△△の職業につきます」っていうことが、なぜ占えるのか?わかるのか?

先程、「自由意志」ということを書きましたが、実は、人間には本当の意味で「自由意志」なんか無いんじゃないか?と…考えると?

これについても、実はいろいろな人が言及している。

例えば、ロシアの神秘思想家であるG.I.グルジェフ
彼は、人間を「条件づけによって反応するロボット」だと見做していた。
つまり、人の行動は、外的要因・外的刺激に反応しているに過ぎないと。
人は、自分で考えて、行動している「つもり」になっているが、実は、そういうプログラムに沿って反応しているだけだということ。RPGのドラクエの中のキャラクターと同じだ。
同様のことは、近年では、アウトサイダーで有名になったコリン・ウィルソンなどもロボットという言葉を使って言及している。

ちょっとわかりにくければ、車の運転などを考えてみるとわかりやすいかもしれない。
運転を学んだ当初は、色々なことに気を配り、運転もぎこちないが、慣れてくると、意識せずとも、様々なことができるようになってきます。この究極が「反応する」ということ。

人は、自由意志を持っていると思っていても、実は、色々なことに影響され、判断し、決定します。
影響は、人間としての生物学的遺伝の記憶、生まれてから現在まで生きてきた経験、親からの育てられ方、受けてきた教育、スーパーエゴと呼ばれる社会的通念、その他様々な事柄…。場合によっては、その時の健康状態や、行動の直前に見たテレビCMにも影響を受けているかもしれません。

一本の映画、一本の小説だと考えてみると、その中の登場人物に自由意志はあるでしょうか?
少なくとも、それらの物語を外部から見ている我々からは、登場人物がどのように動いているか、意思決定しているかは、ストーリーに従って決まっているように見えます。

この世界が、壮大な小説、映画だと考えてみたら…?

先程、書いたグルジェフは、「自己観察」を続け、反応する機械に過ぎない人間が覚醒する必要性について説いています。

仏教に詳しい人は御存じかと思いますが、「仏陀」というのは「目覚めた人」という意味です。
世の中の刺激に反応する機械に過ぎない人間が、本当の世界を認識し、目覚めたときに、運命・運勢に翻弄されるような人生ではなく、真の意味での自由意志により、自分自身の人生を決めることができるのかもしれません。

自由意志の悩み

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