2012年12月2日(日)10:00から、VoiceLink™とPreziを利用して、オンライン上で読書会を開催しました。
今回の読書会は、特に課題図書を決めず、参加者の好きな本について紹介してもらうことにしました。
まず、最初に紹介された本は、
「生き方―人間として一番大切なこと」 (稲盛和夫、サンマーク出版)
自分の本棚ではなく、お父さんの本棚にあり、何度も読んだ形跡があったということですので、今度、自分も読んでみようと思います。
次に
「ゆびぬき小路の秘密 (福音館文庫 物語)」 (小風さち、福音館書店)
です。これは、童話ですね。
この本を紹介してくれた方は、図書館でこの本を借りた後、読み終える前に返してしまって、すごく気にかかっていたそうですが、10数年ぶりに改めて、この本に出会い読んでみたそうです。
ちなみに、童話では、私も思い出の本があって、
「ももいろの川は流れる」 (矢野 徹、フレーベル館)
という本がすごく思い出に残っている本です(もう、絶版ですが…)。
これは、SF童話で、宇宙飛行士たちがある星に探検に行くのですが、そこに住んでいた犬(のような生き物)と交流していく話です。
僕が小学校1年生の時、入院していた病院で読んだ記憶があります。
それから、有名な
「スティーブ・ジョブズⅠ,Ⅱ」 (ウォルター・アイザックソン、講談社)
が紹介されました(実は、僕はまだ読んでません(^-^;))。紹介してくれた人は
「ジョブズー、何で死んじゃったの~」
と言っていましたね(笑)。
それと、前回のVL読書会でも少し話が出た
「BE ソーシャル! ―社員と顧客に愛される5つのシフト」 (斉藤 徹、日本経済新聞出版社)
この本は、現代のようなソーシャル時代における経営指南書のようです。
これも、今度、読んでみようと思います。
最初の紹介者が、最後に紹介してくれたのが
「ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か」 (エリヤフ・ゴールドラット、ダイヤモンド社)
です。
この本は、私も読んだことがあったので、ちょっと盛り上がりました。
これも有名な本で、TOC(制約理論)について、小説仕立てで説明している本なのですが、シリーズ化されていて、紹介してくれた人はまだ読んでいなかったのですが、個人的には3冊目の「チェンジ・ザ・ルール!」は、我々のようなITコーディネータ及び、SEに取って必読書だと思っているので、逆に紹介してあげました。
私は、2冊の本を紹介したのですが、まず1冊目として
「ゲームにすればうまくいく―<ゲーミフィケーション>9つのフレームワーク」 (深田 浩嗣、NHK出版)
です。先日から、何度か、このブログでも紹介していますが、ソーシャルゲームなどを例に取り、ビジネスをゲーム化することによって、顧客満足度を上げていくための手法について説明しています。
- おもてなし
- 可視化
- 目標
- オンボーディング
- 世界観
- ソーシャル
- チューニング
- 上級者向け
- ゴール
という9つのフレームで、お客様に対する満足度を上げていくのですが、事例としては
- 縮小化する市場でハーレーが売上を上げているという事例
- セブンイレブンで冬でも冷やし中華を売っている事例(仮説検証によるチューニング)
- AKB48のじゃんけん大会
- ディズニーランドのスタッフと会社の間の世界観共有
です。これは、タイトルの通り、生体と企業のアナロジーから、企業の生き残りについて考察している本です。
もう20年近く前の本で、これも絶版になってしまっているのですが、個人的に、結構、お気に入りの本です。
大きく分けると
- 企業の神経構造
- 企業の精神構造
- 企業の生命力
- 進化
について考察されています。
神経構造というのが会社という組織としての在り方について書かれているところで、バブル以前は、日本企業の強みのというのが、現場の強み(末端)に依存していて、それまでの高度経済成長の時代はそれでも良かったのだが、これからは、中枢神経(経営戦略部門)を鍛えていく必要があるというようなことが書かれています。
→ これは、人間が脳を発達させることによって、地球上で勢力を伸ばしてきたということに擬えています。
企業の精神構造というのは、企業の持っている社風とかノウハウのようなものです。
野中郁次郎先生の提唱した「暗黙知」と「形式知」などについても書かれています。
会社の中では、そのような「暗黙知」というものも共有し、組織力を上げていく必要があります。
ちょっと話は飛びますが、「暗黙知」に関しては、認識論の中に「アフォーダンス理論」というものがあって、これは個々の要素の組み合わせによって情報の認識がなされるわけではなく、情報は既に環境の中にある(情報を受け取る側が、それを受け取ることができるようになると、情報を認識できる)という考え方に基づいた理論なのですが、個人的に、この理論は、何となく「暗黙知」の考え方に類似しているような気がしています。
つまり、暗黙知としての知識は既に環境の中にあるので、それを認識できる側に準備ができたときに知識として共有できるというような感じがしています。これについては、今後、もう少し考えてみたいと思っています。
ところで、この本について話をしているときに
「偶キャリ。―「偶然」からキャリアをつくった10人」 (所 由紀、経済界)
という本についても紹介して頂きました。ちょっと興味があるので、これも手に入れて読んでみようと思います。
企業の生命力というところでは、企業体(会社)というのは、「企業の実体」の乗り物に過ぎないということが書かれています。では、この実体というのが何かというと、それは人の持つビジョンだったりビジネスモデルだったりするわけで、最終的には人に帰着するというような書き方になっています。
これは、ドーキンスの書いた利己的遺伝子に通ずる考え方で、会社の存続というのは、組織(入れ物)の存続ではなく、社風やミッションというものがどう受け継がれていくかということを考えなければならないのかなというように読めました。
話の中で出たのですが、例えば本田技研工業などでは、創業者である本田宗一郎の理念が社員にしっかり受け継がれていて、それが企業としての生命力に繋がっているだろうということです。
最後に進化という話ですが、ダーウィンの進化論である「環境への適応」だけではなく、日本の進化論学者である今西錦司の唱えている「棲み分け」などにも言及していて、企業も環境への適応とともに、事業ドメインをどうするか、顧客や地域などによる棲み分けも必要なのかなどということが書かれています。
ところで、今回は最後に紹介したのですが、この本の中では、生命とは何かということについての説明もされていて、2人の学者による定義が紹介されています。
オパーリンは「物質の代謝」(外部の物質を取り入れて、体内の物質を排出する)という説明をし、シュレーディンガーは「生物体は負のエントロピーを食べている」という説明をしています。
どちらも、すごく大雑把に言えば、外部の情報をうまく取り入れ、新陳代謝を図っているということです。
外部からの物質、情報などを取り入れて行かなければ、生命体は自身を保つことができないというのと同じように、企業もうまく外部からの情報、人材などを取り入れて、新陳代謝を図っていく必要があるというようなことが書いてありました。
また、Preziの方には、当初、書いていなかったので、今回は紹介するつもりは無かったのですが、この本の紹介の流れの中で、
「模型は心を持ちうるか―人工知能・認知科学・脳生理学の焦点」 (ヴァレンティノ・ブライテンベルク、哲学書房)
という本についても紹介しました。
詳しくは、後日、改めて紹介したいと思いますが、これは模型にある仕掛けを入れていくことによって、その動きを観察している人が、あたかも模型が意思を持って動いているかのように見えるという思考実験の本です。
この手の本が、結構好きなので、このような本については、また紹介したいと思います。
(実は、この本も絶版で、古本か英語版しか手に入りません)
最後に本を紹介してくれた方からは、
「猪木寛至自伝」 (猪木 寛至、新潮社)
を紹介して頂きました。
プロレスファンの赤本と言っていましたが、アントニオ猪木が子供の頃に家族でブラジルに移民として渡った話から、引退までの人生について書かれているそうです。
内容もそうですが、結構、プロレスの話に花が咲きましたね(笑)。
それと、本の紹介というわけではないですが、同じく参加していた方に好きな本として
「恋文」 (連城三紀彦、新潮文庫)
を紹介してもらいました。小説ですね。
機会があったら、また紹介してください。
メッセージボードの中には、星新一のショートショートが好きだったなどという書き込みもありましたよ。
こんな感じで、それぞれの好きな本について紹介してもらうというのも良いですね。
興味が出てくる本もありますし、自分の読んでいる本に関係する別の本についても気づきが得られそうです。
今後もまた、開催してみようと思います。
このVL読書会は、結構、時間が長くなってしまいがちなので、次からは何とか1時間くらいで終わらせたいと思います。
下に、今回のPreziメモを掲載しておきます。
これだけ本の紹介が出れば、1時間じゃ終わらないなと改めて思った(笑)。