2012.12.23(日) 10:00から、3連休の中日にも関わらず(笑)、VL読書会を開催しました。
一応、番外編としていたのですが、いつもとそう変わらず、まったりと進みました。
今回、紹介した本の1冊目は
サンリオの奇跡―夢を追う男たち (角川文庫)
です。
これは、私が高校生の頃に読んだ本で、サンリオの創業からの物語について書いてある本です。読んだのは高校生の頃ですが、文庫になる前に出版されたのは1979年なので、私が小学生の時ですね。
サンリオの創業者は、辻信太郎という方なのですが、元々は山梨県庁に勤めていた人です。工夫して自分の仕事の効率を上げても評価されない県庁の業務に嫌気がさし、後のサンリオを立ち上げます。
サンリオはご存知の通り、いろいろなキャラクター商品を出していますが、後に専務になる荻洲照之という人との出会いによって大きく発展して行きます。
荻洲さんは、元々は商社(現三井物産)にいた人ですが、アメリカにいたときにグリーティングカードに出会い、日本で販売することになります。日本にはその頃、そのような習慣は無かったので、当初の販売実績はさんざんだったのですが、その頃に辻氏と出会います。
この本に書いてあった出会いも、結構面白くて、事実は小説よりも奇なりと言いますが、一人の占い師を介して出会っているようです。本当かどうかはわかりませんが(笑)。
この本の中で、印象深いことと言えば、辻氏は自分たちの仕事を第4次産業というように位置づけていたようです。
ご存知の通り、第1次産業は農業や水産業、第2次産業は一般製造業や加工業、第3次産業はサービス業として分類されます。
辻氏はそれに次ぐ第4次産業という分類は無いものかと考え、心の充足を与えるものこそが第4次産業に分類されるという考えに至ります。例えば、宗教や教育などです。その中で、自分たちは何を売るのかと考えたときに「愛と友情」を売ろうという結論を出します。その可能性は無限で、将来は1千億円どころか10兆円を超す市場になると(もう、50年近くも前の話です)。
以外と、今のソーシャルネットワークの発展も、その流れにあるような気もちょっとしますね。
ところで、この本の中にはサンリオがどのようにコンピュータを活用していったかについても色々と書かれています。
非常に古い本なので、今となっては当たり前に思えるようなこともたくさんありますが、せっかくなので書いておきたいと思います。
サンリオは全国の小売店に対して、商品を発送するために、在庫の管理をする必要があります。
当初は、コンピュータなどありませんから、日々の在庫管理もかなりいい加減で、きちんと把握できていなかったようです。そこで、「棚札」というものを作り、あらかじめパッケージの納入分の数値が一覧として書かれている札を倉庫に用意しておきます(納入が500パッケージだったら、1から500までの数値が書かれている札)。そうして、倉庫から商品を出すたびに、その分、数値を消して行くというルールにします。発注から納品までの期間を想定し、その数値のところに印をつけておくことによって、倉庫内の在庫が一定数まで減ったら、発注担当者に連絡するということを決めておけば、アルバイトでも在庫管理ができるようになります。
また、月によって、数値を消すボールペンの色を変えることによって、月ごとの商品の動きも把握することができるようになったそうです。今となっては、このような管理をコンピュータでするのは当たり前ですが、在庫の動きを数値できちんと把握するというのが、その当時のサンリオの強みになっていたのかもしれません。
その後、コンピュータを導入し、売掛金の入金の管理などもしていたようですが、販売先が増えてくると、当然、処理量も増えてきます。当時はパンチカードでデータの入力をしていて、パンチャーも雇わなければならないし、パンチマシンもどんどん購入する必要が出てきました。コンピュータメーカーに相談すると、もっと大型の機械を買えという答えが出てきます(単純な答えはそうなるでしょう)。
そこで、出てきた工夫が、入金件数と未入金件数を調べると、未入金件数の方がずっと少ないので、それまでは入金件数を処理していたのを、未入金件数を処理する方式に変えることによって、コンピュータの性能を上げずに処理ができるようになったという例が載っていました。安易に情報システムを導入せずに、仕事の仕方(処理の仕方)を変えることによって、問題解決をしたという良い見本になっていると思います。
更に、処理件数が増えると、毎回、パンチカードを作るのではなく、同じ発注が繰り返されることに注目して、カードを使い回すことにより、手間とミスの両方を削減したり、カードによる入力が限界になったときに、当時、まだ例が無かった、プッシュホンを使った発注システムの開発、更には、各販売店に、事前に発注内容を入力しておいて、入力後にデータを一気に送るための端末を置いて、コンピュータへのデータ入力時間と電話の通話料を削減した方法など、いろいろと興味深い事例が掲載されています。
手段はともかくとして、安易な方法で問題解決しようとせず、持っている資源を最大限に活かして問題の解決を試みるという姿勢は見習うべきものがあると思います。
辻信太郎氏は、僕が非常に好きな経営者の一人です。
辻信太郎氏は読書家であり、また愛や友情というものを大切にする一方で、ビジネスを数値化し、ロジックで考えられるという非常にバランスの取れた経営者なのかなと思います。
以前、読書会で紹介した、ライフネット生命の出口治明社長も、旅と本と人から学び、ビジネスでは「数字、ファクト、ロジック」と言っているということで、すごく共通点を感じます。
2冊目はオマケなのですが、
突撃!グフフフ映画団 (講談社文庫)
です。
これは、実は手元に本が無いので、全くの記憶頼りですが、昔、札幌にあった「ジャブ70ホール」という映画館を設立した時の話です。
映画好きが、自分たちの映画館を作ろうとして、頑張る話なのですが、全然、設立のための費用が無いため、大学の学生に設計させて費用を節約しよう(実現しないのですが)など、バタバタ劇がとても面白かった記憶があります。
また、映画とは全然、関係ないのですが、(確か)札幌市役所の職員用食堂によく出入りしていて、「玉子丼」を食べていたというシーンが出てきます。
玉子丼って、どんなのを想像しますか?
多分、親子丼の肉抜きを想像する人が多いと思うのですが、ここの玉子丼は、ごはんに卵焼きが乗っているというメニューで、しかも、おばちゃんが「そこにタレがあるから」と指差したものが、どうみても、ただの醤油という、キョーレツなメニューだったようです。
札幌に住んでいる間に、一度、食べてみれば良かった。
ちなみに今は知りませんが、僕が住んでいた高校生くらいまでは、札幌はすごく映画館が多くて、多分50軒くらいはあったような記憶があります。
3冊目は、参加者が紹介してくれた
インパクト志向(田中 裕輔、東洋経済新報社)
です。
ちょっと前に出た「なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか?」を書いた、田中裕輔さんの書いた本です。
どうすれば収入を増やせるのかというようなノウハウ本ではなく、なぜ働くのかというったWHYについて書いてある本だそうです。
最近は、そのような仕事の意義とか、人生の意義みたいなことを書いてある本が多いですねーという話になりました。流行りなんでしょうか?(笑)
話の途中、ジョブズの話から、Macの話まで、いろいろと話題があちこち飛びましたが、そのような発散した話も、こういう読書会の中では有効なのかなと思いました。
本日の読書会で使ったPreziを下に貼っておきます。