【書名】PLANNING HACKS!
【サブタイトル】凡人をヒットメーカーに変える企画生産のコツと習慣
【著者】原尻 淳一
【出版】東洋経済新報社
【発行】2007.05.10
この本もフォトリーディングのセミナーの時に、練習で読んでみた本です。
コンサルタントとしても、一経営者としても常に新しい企画を考えるということは必要なことであり、また難しいことでもあります。
この本の中には、サブタイトルにもあるとおり、凡人が次々とヒットを飛ばすために必要なヒントが書かれています。
読書の目的としては、大きくは、アイディアの出し方についてのヒントを得ること。もう少し細かく書くと、
- アイディアを出す方法
- アイディアを出すための環境の作り方
- アイディアを出すための準備
- 企画立案の計画
について学ぶことです。
この本で、著者が主張していることは大きく2つあります。
まず1つ目は
ということです。
考えてみれば当然のことで、スポーツでも、日々の練習と、方法論の習得によって結果が出るようになってきます。アイディアを偶然に頼っていては、一発屋としては結果を出すことができたとしても、ヒットの量産というわけには行かないでしょう。
2つ目は、著者の言葉では
という言葉で表現されています。
この言葉が、この本のキラー・インフォメーションであり、結論であると言えるでしょう。その言葉通り、アイディア/企画というものは、いきなり結論を求めるのではなく、2段階で考えることにより、アイディアを誘発しやすくなるという主張です。本の中では「要素を出してから関係を作る」、「量から質へ」、「発想会議と決定会議」など、いろいろな例で語られていますが、どれも二段階にすることによるメリットがわかりやすく書かれています。
準備とシステム化
著者は、綿密な準備とシステム化によって、企画を作りやすくするという主張をしています。
準備としては、データベースを整理しておくこと。
そのデータベースに関しても「材料」としてのデータベースと「型」としてのデータベースの2つに分けられています。著者は、この2つを「変数的データベース」と「代入式的データベース」と呼んでいます。
「変数的データベース」は、まさに企画を作るときの素材であって、場合によっては鮮度が要求されたりするので、こまめに更新することを勧めています。そのため、本の中では「ケータイを持って街へ出よう」などということが書かれていたりします。
一方、「代入式的データベース」は、フレームワークや理論、テンプレートといった枠組みのことです。
これら2つのデータベースを充実させ、組み合わせることによって企画を出しやすくするというのが、著者の主張となっています。企画書のテンプレートとして、本や雑誌から見本帳を作るなどということについても説明されていました。
二段階抽出法
これが著者の主張であり、結論といっても良いと思います。
例えば、
- 要素を出してからそれらの関係を考えていき、情報のメタ化、意味付けをしていく
- アイディアを発散させてから収束させる
- 発想会議と決定会議に分けて考える
- まず手書きで考えてからパワーポイントを使う
などなど。いろいろな例が挙げられています。
これらは、突き詰めていくと、著者の最初の主張とも関係していると思います。まず、準備を整えてから、目的を達成するための思考・作業を行うということは、企画立案に限らず、さまざまな仕事に応用できるのではないかと思います。
環境づくり
企画を出しやすくする環境についても書かれています。
例えば、
- プロジェクトディクショナリを作る
- ミニ・ライブラリを作る
- 社内散歩のすすめ
- 右脳を刺激する場所を作る
などなど。これについても役に立ちそうなヒントが、いろいろと書かれていました。
最近、あちこちで「イノベーション」という言葉がよく聞かれます。
日本では、イノベーションが起こしにくいということが聞かれることもありますが、個人的には、個々人の発想力の問題というよりも、環境の問題、特に周囲の評価の問題が大きいのではないかと思っています。そういう意味でも、環境作りは、結構重要なのかなと感じています。
この本の中で、企画を立てるというのは、美味しいカレーを作るのと同じだという表現がありました。つまり
- 素材を集め(情報収集)
- 冷蔵庫にストックし(データベース化)
- 調理し(グラフ化、チャート化、図解など)
- 食べてもらって(プレゼンテーション)
- 感想を聞いて(クライアントからの評価)
- 足りない材料を集める(情報の再収集)
ということに例えられています。
美味しいカレーを作るには、データベースとしてのレシピが必要なわけですが、それと同時に食べてくれる人のことを考えなければなりません。
その人が、どんなカレーが好きなのか?シーフードが好きなのか?ビーフカレーが好きなのか?辛さの好みはどうなのかなど。
本の中には「母ちゃんのカレーって美味いだろ?それは、母ちゃんがお前のことを一番良く知っているからだ」ということが書いてあります。
我々もクライアントのことを良く知った上で、企画を立てていきたいですね。
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