ちょっと自分用のメモとして残しておく。
大混乱となった2024年の東京都知事選も7/7に結果が出た。
大方の予想通り、小池百合子氏がゼロ打ちで当確となり、再選を果たした。
2位以下については、僕が予想していた通り、
2位…石丸伸二
3位…蓮舫
4位…田母神俊雄
となった。当初、蓮舫氏が次点となる予想をしていた人も多かったが、蓋を開けてみると若者の支持、無党派層の支持を集めた石丸氏が躍進し、組織票を持つ蓮舫氏を破る結果となった。
個人的には石丸氏は嫌いではないが、今回の選挙では、彼のこれまでの活動(安芸高田市長としての議会とのやりとり)や、抱えている裁判結果、またネット上にあふれる審議の定かではない情報や評価もあって好き嫌いが出たように思えるが、特に選挙の結果が出た直後のマスコミに対する塩対応によって評価を変えた人も多いように思える。
その後、本日(7/14)に至るまで、地上波、ネット番組等、様々な場所で彼が話をする機会があり、多くの人が彼に対してマスコミ対応に関する指摘や意見を述べているが、石丸氏自身は、本質的な部分において、あまり自分のスタイルを変えるつもりは無いように感じる(まあ、それはそれで別に悪いとは思わないが、損得で言えば、あまり得ではないだろうなという気はする)。
ただ、先ほども書いたように、僕自身は石丸氏のようなタイプは嫌いではない(ついでに言えば、同じようによく批判されているホリエモンこと堀江貴文氏や橋下徹氏や成田悠輔氏なども嫌いなタイプではないw)。人間はロジックだけでは動かないし、はっきり言えば、世の中の多くの人は事実よりもキーワードを拾い上げて、脳内で自分に都合の良いストーリーを作り上げる人の方が多いと思っているので、誤解を受けやすいタイプだろうとは思う。
逆に言えば、そのような耳障りの良いキーワードをうまく紡ぎだせるような人は人心掌握に長けているのだろうと思う。小池知事などはまさにそのようなタイプなのかもしれない。
まあ、あの話し方が生理的に受け付けないという人もいるだろうし、そういう人は仕方ないのだが、パワハラ体質、恫喝体質という論評も(これは僕自身が直接その環境にいたわけではないのでネットなどから得られる情報からの自分の印象でしかないのだが)、個人的には「?」という感じにしかならないし、それはどうしても感情によるフィルターがかかってしまうのだろうとは思う。
パワハラに関して言えば、例えば最近よくテレビに出てくる泉房穂元明石市長などに関しては、これは完全にパワハラ、恫喝と言えるだろう。
市長→職員
というのは、完全に上下関係であり、そこに関して「建物に火をつけて捕まってこい」などと言って迫るのはパワハラ以外の何ものでもない。
一方で、
市長―議員
というのは対等な関係であり、居眠りをしていた議員に対して「恥を知れ」などと言うのは全くパワハラにはあたらないと思う。
「居眠りは脳梗塞の影響で」という話もあるが、普段からそのような状況になく突然いびきをかきはじめたというのであれば、当然そのような疑いを持つべきで周りの人間(特に議長だと思う)が何らかの対応をすべきだと思う。しかしそうなっていなかったというのは、普段からそのような居眠りが常態化していたということが想像できる(見ていたわけではないので、想像でしかないです)。
恫喝裁判に関しても、世に出ている情報から、市長から議員に対する恫喝と思っている人も多いようだが、そうではなく議員→市長に対する恫喝ということを石丸氏が公表したことによる名誉棄損の裁判ということを認識していない人がいまだにいるように思える。
そのあたりも含め、正しい情報を得るように気を付けるとともに、マスコミはミスリードするような情報発信をしないようにする必要があるだろう(といっても、ずっと言われている問題であり、もはや変わることはないのかもしれない)。
詳細は、偏見無しで情報を探してくれば、ネット上にいろいろと出てくるだろう。
さて、前置きはこのくらいにして、タイトルに書いた「児島啓示」について少し書いておこう。
これは、「百年の祭り」という、もう30年程前に描かれた漫画に出てくる主人公。
描かれたのは、日本では細川護熙が率いる日本新党が話題になり、八党連立政権により自民党が下野した時期である。
(ちなみに今回、都知事に再選した小池百合子氏の政治家としての始まりは、この日本新党である)
今回の知事選でも各候補は、当然政策を打ち出してきたわけだが、正直、石丸氏の政策、公約は、都知事としては「わかりにくい」ものだと思う。
まあ、明確といえば明確であるとも言えるのだが、やはりわかりにくい。
都知事選開票の結果が出た後、山崎怜奈さんの質問に対する塩対応。
山崎さんは
「国政レベルの規模のものがあったのでは?」
と質問し、石丸氏は
「見方が違う。東京都として関与できる裁量がある」
という塩対応をする。
ここで、石丸氏はわかっていてはぐらかしたのか、本当に理解できなかったのか、本人しか真相はわからないが、その後も(別のインタビューを含め)、「なぜ選挙後にそのような質問をするのか」ということも言っていたので、どこかマスコミに対する不信感や不満のようなものがあったようには思う。
僕自身は、この質問がそんなに的外れだとも思っていなくて、ある意味、石丸氏の立候補の意図を端的に説明できる、本質的な質問だったと思うのだが(選挙後の質問として適切かどうかは別として)、知事になる、政治家になるといったことが石丸氏の言うとおり「手段でしかない」のであれば、選挙中、開票後といったタイミングに関わらず、改めて地上波で伝えるべきであったろうとは思う。
ちょっと脱線したので話を戻す。
「百年の祭り」の中で児島啓示は、新潟から国政を目指すのだが、地元の県議などに協力を要請する。
その中で、ある県議が児島啓示のことを以下のように評する場面がある。
「問題は情熱だ
なぜ政治家になりたいのか
その衝動がなんなのかわからん
つまりあいつの性根がどこにあるのかわからんのだ」
「そういう奴の支持はできん」
途中、シーンが変わるのだが、最終的にこの県議は児島の考えを理解する。
その際に以下のようなセリフが出てくる
「なるほど児島は見えにくいわけだ
児島の心は永田町の国会議事堂の中にない
その上空の雲の上にある」
「だとしたら児島は政治家ではない」
「宗教家だ」
今回の知事選で、
- 政治再建
- 都市開発
- 産業創出
という3つの柱と、それにぶら下がる9つのポイントを掲げていたが、その先の目的というのは、これから起こる人口減少社会において、東京の一極集中を是正し、他の道府県、自治体と連携しつつ日本全体の構造のリストラクチャーをすることにあるのだと思う。
要するに、先ほどのインタビューの話に戻すと、山崎さんが聞きたかったのは政策というよりも、政策が実現された時の姿、つまり目的を明らかにしたかったということではないかと思うし、それが都政レベルでどう実現されるかという話ではなかったのではないかという気がする。
多分、「東京都」というスコープだけで考えると(そして、それは都知事選ということを考えると当然なのですが)、一見、東京都の利益に反する(都の人口を減らし、地方に財産を流す)ように見えるし、実際、そう感じる人も多いように思える。また、それを考えたときに「都政」ではなく「国政」と考える人も多くいるのではないでしょうか(実際、テレビなどでもそのような意見を言っている人が結構いたように思う)。
おそらく、彼の考えていることは、東京から地方への富の分配というよりも、よりマクロな視点からの富の循環・還流といったことなだが、それが都知事としてどこまでできるのか、それはかなり未知数の部分ではあるのかなという気がする。
それは東京だけでできることではないし、他の自治体との連携が絶対に必要で、そこに同調してくれる道府県・市町村がどのくらいあるのか、どこまで動かせるのかということがキモになってくるわけだが、かなり困難な道であるということは言えると思う。
それを考えると、彼は今回、東京都知事への立候補という方法を選んだわけだが、国政に打って出て国のレベルから変えていくということが近道のような気はする。
ただし、当然、今の野党のように、ただ反対していれば良いわけではなく政権を取る(しかもその中枢に入り込む)か、あるいは石丸新党を作って、キャスティングボートを握るかという方法を取ることになるのかという気がする。
個人的な印象でしかないのだが、石丸氏は多分、良くも悪くも人を信じ過ぎている(期待しすぎている)ところがあるのかなという気がする。
まずはマスコミに対して
「こうするのが当然」
有権者に対して
「こういうことを期待しているはず」「自分の言うことが理解できるはず」
と考えているような感じがする。
それと同様に、議員、自治体の首長に対しても、自分の考えを理解し、賛同してくれるものだとどこかで考えているような気がする。
ただ、人間は論理的にだけ動くわけではないし、見ている範囲もそれぞれ異なる。
立場が違えば、見方も見る範囲(地理的にも時間的にも)違ってくる。
そこをどう伝えていくか、周りを巻き込み動かしていくかは、今後の彼の課題になってくるのだろうと思う。
彼がやろうとしていることの本当の狙いは、彼にしかわからないが、自分なりの理解の中では、やろうとしていることは同意できるものではある。
今回起こしたようなムーブメントを今後、彼が起こせるのかどうかについてはちょっと注目していきたい。
ちなみに多分、彼は新党を作って国政に打って出るというのが自分の予想。
衆議院の解散がいつになるかによって、どうなるかはかなり流動的ではあるが、かなり可能性は高いと思っている。
あと、石丸伸二に興味のある人(支持者もアンチも、単に面白がってる人も)は「百年の祭り」は読んでみて欲しいんだなー。
この中の1シーンで児島啓示が言う
「そんなことを言ってたら間に合わない」
というセリフと、
「人は熱き心でも動く」
というセリフはちょっとグッときます。
Kindle Unlimitedで読めるので、ご興味のある方はぜひ読んでみてください。