先日、タレントのつるの剛士さんが、保育士受験を目指したものの、資格なしに愕然とした
というニュースに対して
ニュースになることが愕然とするわ「私、お産ならたくさん経験したんで」って人が学校飛ばしていきなり助産師とか産婦人科医できるつったら無理があるし、保育士ならいけるやろと思っているなら甘く見過ぎ
というツイートを見つけました。
5児の父・つるの剛士、保育士受験目指すも…まさかの資格なしに愕然
ニュースになることが愕然とするわ「私、お産ならたくさん経験したんで」って人が学校飛ばしていきなり助産師とか産婦人科医できるつったら無理があるし、保育士ならいけるやろと思っているなら甘く見過ぎ https://t.co/kXGhhzS75c— タビトラ (@tabitora1013) January 15, 2020
元のニュース↓
そのツイートは6千件以上のリツイート、1万7千件以上のいいねをもらっていたようですが、そのツイートに対するコメントには
「保育士への見下し」
とか
「軽く考えている」
など、批判的な意見が多く見られたように思います。
個人的には、資格が無いことに愕然としたというのが、なぜ甘く見過ぎと叩かれるのかがよくわからない。
どんな資格だって、それを知り、受験にはどのような資格や準備が必要なのかを調べるのではないかと思います。最初から全て知っているわけではないのですから。
そして、それらについて調べた上で、自分がそれを満たしているなら取得できるように頑張れば良いし、満たしていなければ資格が得られるように頑張るか、受験そのものをどうするかを検討するだけの話。
それを、単に調べた結果、受験資格を満たしていなかったというだけで、甘く見過ぎという風に捉えるというのはどうなんでしょうね。
ちなみに全国保育士養成協議会のホームページによれば、
「大学卒業であれば、保育士とは関係のない学部・学科でも受験資格があります」
とあります。
つまり、94年高校卒のつるの剛士さんに受験資格が無くても、僕は受験資格があるということ。理学部卒だけど。
「甘く見ている」、「軽く考えている」と批判的なコメントを書いた人たちは、このような事実を認識した上でコメントしていたんでしょうかね?
以前も、女優の石原さとみさんが看護師の勉強をしていると語った時も、同様に
「看護師なめんな!」「私たちは干されたらなりたい職業に向かっているのか」
などという批判コメントが殺到したように記憶しています。
既に別の世界で頑張り結果を出している有名人が、自分が携わっていたり、一生懸命勉強している職業に対して、「その職業もやってみたい」ということが気に入らないということなんでしょう。
バカにされたというように感じるんでしょうかね?よくわかりません。
皆、沸点低いなぁ…。
もし、つるの剛士さんが保育士になったり、石原さとみさんが看護師になったとしても、自分は自分の仕事をすれば良いだけ。
彼らがその職業を甘く見ているなんて、どこにも書かれていませんし、その言葉を受け取った側が勝手にそう受け取っているだけのことです。
たとえその歪んだ想像通り甘く見ていたとしたら、単に資格が取れないだけでしょう。
人生100年時代、多種多様な働き方が模索されている時期です。
女優をされながら、タレント活動をされながら保育士をしたり、看護師をする人がいたって良いのではないでしょうか。
(もちろん、自分の責任を全うできる範囲でです)
とかく日本人は、職人気質といいますか、一つのことに打ち込み、その道を極めることを美徳とする傾向が強いように思います。
ここで一つ僕が思い出されるエピソードを紹介しておきます。
ノーベル賞受賞者である山中伸弥教授が、まだ研究テーマに悩んでいた頃、同じくノーベル賞受賞者である利根川進教授へ質問したときの内容です。
山中教授は、整形外科医から始まり、数年で研究テーマが2度も3度も変わっている状況で、周りの先生の話を聞いていると、「日本では研究の継続性が評価される」ということがよく言われていて、これは大変だと悩んでいる時期に偶然にもノーベル賞受賞者である利根川氏の講演を聞く機会に恵まれます。
その講演の質問タイムで山中教授は勇気を出してこう質問します。
山中:「日本では研究の継続性が大切だと言われますが、先生はどうお考えですか?」。
利根川:「一体誰がそんなことを言ったんだ(笑)」
「継続性や一貫性などは重要ではなく、研究者は面白いと思うことをやるべきであって、最終的にそれがどのように貢献したかという結果だけが重要なのではないかと思う」
この言葉に勇気づけられ、彼はiPS細胞の研究で、後にノーベル賞を受賞することになります。
もちろん、一つのことに打ち込み、道を極めていくことはとても素晴らしいことだと思います。
しかし、一方で自分の興味のあること、世の中に対してできることを広く求め、いろいろなことにチャレンジしていく人生だって素晴らしいじゃないですか。
はっきり言えば、自分の目に入ってくる人がどんな人生を送っていたって、人に迷惑をかけるような反社会的な行為をしているのもない限り、自分が自分の人生を充実させていればよいだけの話です。
つるの剛士さんが保育士になったからといって、保育士の皆さんは何か不利益を被るのでしょうか?
(ひょっとしたら、自分の職を奪われる?)
同じように石原さとみさんが看護師になったら、看護師の皆さんは何か不利益を被るのでしょうか?
一生懸命、何かにチャレンジしようとしている人の足を引っ張るようなことをいうよりは、単純に応援してあげた方が、皆ハッピーになると思いますよ。