瞑想と願望実現

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占い・予言・自由意志」という記事で、「自由意志により、自分自身の人生を決める」ということについて少し書きました。

運命や運勢に翻弄されず、自分自身の思った通りの人生を送るためにはどうしたら良いのか?「ザ・シークレット」以来、「引き寄せの法則」という言葉も、世の中に広まっているようですが、本当に「引き寄せの法則」があるかどうか?ということについて言うなら、これは「ある」と言って、まあ間違いは無い。ただし、人によって解釈が違ってくる可能性は結構、高い。
自分としては、「引き寄せる」というよりも願望に向かって、進んでいくという積極的なイメージの方が強いのですが、これについては、また別の機会に書いてみようと思います。

さて、タイトルに書いた「瞑想」について。
以前、書いた記事の中では、刺激に反応するロボットに過ぎない人間が目覚めるためには、自己観察が必要だということを書きました。
本当は、普段の生活の中で、たゆまず自己観察を続けていく必要があるのですが、場合によっては、時間をとって瞑想をするといこともあるかもしれません。
ところが、この瞑想というのが、結構曲者。

日本で瞑想というと、お寺で座禅を組んで…ということを思い浮かべる人が多いかもしれません。
世界中のいろいろな宗教や、宗教に限らず瞑想は実践されているのですが、禅宗である臨済宗では、「瞑想中に、仏見たなら仏を殺せ」とまで教えています。
これは、何のことかと言えば、瞑想中に見える幻覚や妄想に対する戒めです。

禅宗では、このように瞑想中に仏や超越的存在を見た・感じたという妄想により「自分は優れた人間である」と思い込み、悟りを開いたとか覚醒したとか思い込む状態を「魔境」とか「野狐禅」と呼び、注意を促しています。

元々、お釈迦様が開いた仏教は、非常にロジカルな考え方で真理を探究する姿勢であり、「無記」を基本姿勢としていました。

ぶっちゃけ、「瞑想中にシヴァ神を見て」とか「光の中に不動明王が立っているのを見て」とか言って会員を集めているような団体は、カルトの可能性が高いので、疑ってかかった方が良い。
ネットサーフィンしていたら、ちょうどオウム真理教に関するこんな記事を見つけたのでリンクを貼っておこう。

瀬口晴義『検証・オウム真理教事件
http://blog.goo.ne.jp/a1214/e/c56d72adc028bc63cab3bc5ba633793b

オウムに嵌っていった信者のことについて、ちょっとだけ引用させてもらうと、

女性信者はこう言っている。
「私たちは自分には自信が持てないから、人のためにいいことをしなくては存在してはいけないと思い込んでいた。でも、『これが完全なるいいことだ』と自分では判断はできず、そう断言してくれる絶対他者が必要だった。それが尊師だったんです」
こうして信者は自分で考えることをしなくなり、麻原の言いなりになった。

オウム事件以来、宗教法人を設立するのが難しくなり、カルトは新興宗教というよりも能力開発セミナー、自己啓発セミナー、カウンセリングというように姿を変えて、人の弱さに付け込んできています。
ひょっとすると(というか、以前からほとんどのカルトはそうなんでしょうが)、教祖や先生と呼ばれる人自体が、上に書いた魔境に陥っていると思って間違いないでしょう。

あ、ちなみに瞑想を否定しているわけではないですよ。瞑想のメリットはたくさんあると思います。ただ、悪用してる団体に関わると、一時的に楽な気持になったとしても、最終的には不幸になっていくだけです。

さて、願望実現というタイトルを見て、この記事を読んでいる人もいると思うので、そのことについてもちょっと触れてこうかなと思います。

私はコンサルタントとして仕事をしていますが、実はコンサルティングをするということは、クライアントの願望を実現に導くということに他なりません。
クライアントから見たら、願いを叶えてくれる魔法使いでなければならないわけです。
じゃあ、どうやって、その願いを叶えるか?
以前の記事でも書いたように、この世界は「等価交換」で成り立っています。
何かを得るためには、それと等価の何かを使う必要があります。
我々が住む、この世界の中で一番わかりやすいのはお金。
代金を支払って、商品やサービスを購入する。
あるいは、時間を使って。知恵を使って。労力をかけて。
等価で交換すれば、それに見合う何かは得られますが、多くのクライアントは、最終的な願いを入手するための方法を知らなかったり、非効率なやり方しか知らないので、コンサルタントに頼むわけです。
(一方で、何となく自分でできてしまうような気になっているから、コンサルタントに頼めば効率が良いのに、自己流でやってしまうという例も見られます)

コンサルタントがクライアントの依頼を実現する際は、

  1. 目的を明確にする
  2. 目標(ゴール)を決める
  3. 目標に至るまでの道筋と、途中経過の中間目標を決める
  4. 行動計画、アクションプランを決定する
  5. 具体的に行動する

ということを行います(大分、大雑把ですが)。

世の中の「引き寄せの法則」と言われているものの多くでは、1. 、2. は語られているようです。要するに「強く願う」とか「イメージングする」とかです。
それ自体は間違いではないですし、ゴール設定を明確にするというのは、方向性を見失わないようにするには大切です。でも、ゴール(通常は「最終状態」の設定です)を明確にした場合でも、そこに至る道筋が見えていなければ、なかなか具体的行動には至りませんし、具体的行動が伴わないと、ゴールに至るのはなかなか難しくなってきます。
(最初に「引き寄せ」というより「願望に向かって、進んでいく」ということを書いたのは、こういう意味もあります)
「引き寄せ」について、いろいろと語る人には「潜在意識」ということをいう人も多くて、これ自体も間違いではないのですが、潜在意識にのみ頼り、あとは任せっきりという方法論は、再現性が乏しいという意味で、万人に勧められるものでもないです。「引き寄せ」は、再現性が無いと、単なる偶然で終わってしまいます。

これまた、コンサルの話で恐縮なのですが、企業をコンサルティングする際に、その企業の成熟度というものを見据えてコンサルティングします。
成熟度は0~5までの6段階で、以下のように定義されます。

  • レベル0… 認識していない
  • レベル1… 認識はしているが、行き当たりばったり。その場限りの対応
  • レベル2… 繰り返し可能な状態。上手くいった状態をまねているが、まだ責任は個人レベル
  • レベル3… 定義されている。手順が標準化されているが、まだ対策は個人レベル。
  • レベル4… 管理されている。継続的な改善と改定。測定可能。
  • レベル5… 最適な状態

これに従えば、引き寄せの「法則」とまで、言い切るのであれば、それらはせめてレベル3、レベル4であるべきです。「潜在意識」という言葉を使い、単に繰り返し可能であるというのであれば、それは「たまたま」上手くいっているに過ぎません。

メジャーリーグで活躍するイチロー選手の名言に以下のようなものがあります。

「僕は天才ではありません。なぜかというと自分が、どうしてヒットを打てるかを説明できるからです。」

常に自分自身を見つめ直し、自分の目標を達成していったイチローならではの言葉ですね。ちなみに、三冠王を3度取った、「俺流」の落合選手も同じようなことを言っていた記憶があります。

ちょっと脱線しそうになりましたが、願望の実現ってこういうことです。
最終的な願望を明確化するだけではなく、それに至る道筋まで見えるようにしておくこと。そして、それに従ってアクションを起こすこと。
長くなりそうなので、もうちょっと具体的な方法については、また後日…。

願望実現

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