以前の記事で、「『引き寄せる』というより、願望に向かって、進んでいく」というようなことを書きました。
スピリチュアルなことが好きな人、そういうことに抵抗が無い人にとっては、何かを引き寄せる、あるいは何かがやってくるということが自然に感じられるのかもしれませんが、どうしても受け身のようなイメージが出てしまいます。
（まあ、綱引きみたいに積極的に引っ張っているというイメージが無いわけでもありませんが…）
そういう、どちらかというとスピリチュアルなことに否定的な感情を持っている人でも「カラーバス効果（color bath effect）」という言葉は聞いたことがあるかもしれません。
元々は、色に関する心理的な効果として広まった概念のようですが、何かについて意識すると、それに関する情報が選択的に認識されるという心の働きのことです。
普段の生活の中で、人間の知覚に飛び込んでくる情報は膨大なもので、それを全部意識下に納めてしまうと、記憶がパンクしてしまいます。それで、人間は自分が生きていく上で重要となる情報を取捨選択して知覚・記憶していくわけですが、それを（半）意識的に行うのがカラーバス効果です。
（ちなみに、夜見る「夢」も、膨大な記憶の整理のために、眠っている間に記憶を整理しているノイズだという説もあります。フランシス・クリックっていうDNAの二重螺旋構造を発見してノーベル賞を取ったおっちゃんが、そんなこと言ってます）
実は、自分の周りには、かなりの選択肢・可能性が広がっており、それがいろいろな制約条件（多くは、経験や周りの影響による思い込み）によって見えなくなっているというのが実情です。それが、何かを強く意識するとカラーバス効果によって、周りにある多くの可能性やチャンスに気づく。
これが、引き寄せの法則と言われているものの大きな部分を占めていると思います。
「引き寄せる」というよりも、もっと積極的な意味を持つと書いたのは、そういう意味。
シンクロニシティ（共時性）とカラーバス効果は違うとかいう人もいるけど（まあ、厳密には違うんだろうけど）、殆どの現象については、これら２つを同一視することによって説明できる。
「地球の裏側で、何の関係も無いことが同時に起こるのは、カラーバス効果とは違う」
という説明はその通りなんだけど、地球の裏側で起こったことを自分が知らなければ、それは自分の世界の中では、起きていないのと同じだしね。結局、知覚の問題とは切り離せない問題なので、同じ現象と捉えても問題は無いかなと思います（個人的には）。
ところで、いつも「意識している」といっても、自分には、そんな願望に気づいたり、チャンスがあったなんていう経験は無いっていう人もいるかもしれません。
これには理由があって、まずは、意識している、望んでいるといっても、それにブレーキをかけている原因の方に強い力が働いているということ。これまた、スピリチュアル好きの人が好きな「潜在意識」と「顕在意識」の関係（別に潜在意識の問題は、スピリチュアルな分野ではないんですけど（笑））。
ぶっちゃけ、いくら顕在意識で「何かを求めている」とか思っていても、同じくらい「無理だろう」という制限が働いている。筋肉が壊れちゃわないように、100%の力が出せないのと同じ。これが、願望を潜在意識に刷り込んで、そのあとは忘れてしまえ、執着するなと言われる本当の理由。
潜在意識にはブレーキとか否定形が無いから（火事場の馬鹿力と同じ）、潜在意識に刷り込んでおいて、しかも「無理だろう」と邪魔する思い込みもないから、いろんなチャンスや出会いに気づくようになってくる。
もう一つ、願望が実現しない理由は、自分は、「本当は願望を実現させたくない」と思っているということ。
「ホメオスタシス（恒常性）」というのは、生物に備わっている本能で、「現状」と変わろうとすると、元の状態に引き戻そうとする力が働く。だから、今とは違う状態になれるチャンスがあっても、それを無視し、現状に停滞するのを良しとしてるというのが本当のところ（まあ、そういうものだから仕方が無い）。
じゃあ、どうするか？
多くの人は、「１０億円欲しい」とか「社長になりたい」とか、結果だけをイメージすることが多いんじゃないかなと思いますが、現状と将来像とのギャップがあったとしても、そこに時間差があるので、なかなかそのギャップに違和感を感じることは難しいです。
「目標は紙に書くと実現する」
とは、言いますし、経験上、実際、その通りだと思いますが、単に将来像をイメージするだけではなく、そこに至るまでの道筋をイメージし、将来のイメージに至るまでのタイムラインを考えたとき、現状「どうあるべき」なのかと、「現実の自分」のギャップに違和感を感じるようにする。それも頭ではなく、心で。
先程、ホメオスタシスということを書きましたが、この違和感こそがカラーバス効果を最大限発揮させるポイントです。
「今の自分は、何か変だな？？」
と、心が思っていれば、心地良い状況になるように、自動的に情報を選択し始めます。
「引き寄せ」という言葉を使うと、何となくスピリチュアルな感じがしますが、これって、普通にコンサルティングで使う手法なので、再現性のある方法ですよ。
意識的な努力を可能な限りで潜在意識に身を委ねるのが潜在意識に対する信頼なのであって、何の努力もせずに潜在意識に頼るのは潜在意識に対する裏切りですよね。
