新型コロナとデジタルとファジー

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ちょっと遅くなりましたが新年あけましておめでとうございます。
昨年は新型コロナウィルスに翻弄された1年でしたが、今年も早速、緊急事態宣言が出されそうな感じです。

そのような世の中の流れの中、巷では一方で「コロナ脳」と揶揄される人たちが騒ぎ、一方では「コロナは茶番」と宣言する陰謀論者が徘徊しています。

僕は陰謀論はバカの自己紹介と思っているので、そういう人たちの言っていることを相手にするつもりはないのですが、必要以上に恐怖感に苛まされているだけではなく周りに自分の正義感を押し付けているコロナ脳も何だかなぁと思っています。

まあ、多くの人は極端に走ることはなく、感染に注意しつつも日常生活を送っていることとは思っていますが、マスコミのマッチポンプ的な報道やただ政権批判したいだけに見える野党の状況を見ると、今の騒動は行き過ぎかなとは感じます。

東日本大震災後の放射脳騒動のときにも感じていましたが、人は正しく恐れ、正しく行動することが大切です。

記録として、今、考えていること・感じていることについて書き留めておこうと思います。

まず、昨年から何度か報道されている菅総理の会食問題。

8人での会食に批判が集まりました。
街頭インタビューでも「5人以上はダメ」とか「自分たちは4人以下でやっている」という声が多かったように思います。

確かに内閣官房で出している新型コロナウイルス感染症対策のサイトを見ても「大人数、例えば5人以上の飲食では、大声になり飛沫が飛びやすくなるため、感染リスクが高まる。」
という記載が見つかります。

しかし一方で、

「5人以上の会食は感染リスクが高まるとされていますが、明確に科学的根拠があって5人としているわけではありません。統計的に明確な差があることも分かっていません。ただ、多くの人に行動を分かりやすく伝えるために示された数字と認識しています。この会食人数は、10月23日に政府の分科会がまとめた注意喚起を求める提言の中で示されました」

という内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室の話もあるようです。

もちろん、人数が多くなればなるほど感染の可能性は高まるわけで、大人数での会食はなるべく避けた方が良いのは明らかです。

ただ気になるのは、先程も書いた街頭インタビューの答えの方です。

5人以上はダメで4人以下は大丈夫などという意識がどこかで広がっていたなら、それはむしろ怖い話で、5人が閾値になってそれ未満なら感染リスクはなく5人以上なら感染リスクが急に高くなるというわけでもないと思います。

例えば、2021/01/04の東京都の検査の陽性率は13.6%。

計算を簡単にするために全体の陽性率を15%とすると、N人のグループで誰かが感染している確率は 1-(1-13.6)^N で計算できるので、5人の場合、誰かが感染している確率は55.6%。4人の場合は47.8%です。

もちろん、人数が多くなれば密になりやすいということもあるので、より感染確率は高くなる可能性はありますが、急に高くなるというわけでもありません。
数値自体が仮定なので、上記の確率はそれ程、意味があるものではありませんが、言いたいのは4人が良くて5人が絶対にダメということではないということ。

今、世の中ではデジタル化がどんどん進んでいますが、元々、デジタルというのは離散的(Discrete)という意味。0/1の世界です。

先程書いた5人以上の会食の件も、4人以下はOK、5人以上はNGというデジタル的な判断をしているような気がしてなりません。

30年近く前ですが「ファジー」という言葉が流行ったことがあります。
(調べてみると、1990年の流行語大賞だったみたいです)

「曖昧な」という意味ですが、多人数の会食に関しても、本来は4人以下はOK、5人以上はNGではなく、2人ならちょっと気をつける。3人ならもうちょっと気をつける、4人以上なら更に気をつける…のように徐々に気をつける度合いが高くなっていくものだと思います。

そういう意味では西村経済再生担当大臣が言う「一律に5人以上はだめだということを申し上げているわけではございません。」はもっともな話で、むしろそれを責めている人達には

「お前はロボットか何かなのか?」

と問いただしたい気持ちになります(しませんけどw)。

一定の基準は示しつつも、状況に応じて柔軟な対応はできないものかという気がします。
受験偏重主義で必ず正解があると思っている人が増えていることも原因のひとつなのでしょうか。

僕は、今回の新型コロナ騒動で目標とすべきこと(KGI)は、

「理不尽に命を落とす人を少しでも減らす」

ということだと思っています。
そのためには、新型コロナに感染して命を落とす人を減らすことももちろんですが、経済の停滞によって自死を選んでしまう人を減らすことも、医療崩壊によってコロナ以外の病気で亡くなる人を出さないということも同様に重要です。

どういうスコープで物事を考えるかが非常に重要で、政府としては非常に難しい舵取りを求められています。

これは医療と経済という分野別で考えたときも、地方自治体と国全体で考えた問も同様ですが、スコープが異なった時に矛盾が起こり、正解が異なってくるということがあり得るからです。

どこかでバランスを取るか、あるいは何らかの別の要素による矛盾の解決が必要になります(今回のコロナ騒動の場合は、めちゃめちゃ効果のあるワクチンの開発なのかもしれません)。

どちらにしろ、関係者が同じゴールを目指すということは必須であって、政府としてはそれに対するメッセージを国民に強く発していくべきでしょう。
(これは方針でしかないので、何が正解ということはありません。それだけに強いリーダーシップが求められていると思います)

では、ゴールは何なのかといえば、やはり上に書いたように理不尽に命を落とす人を減らすということに尽きるわけですが、そこに至るための道筋が異なったり、ゴールとしての目標値が明確でないと行きあたりばったりの対応になりかねません。

コロナは茶番という人たちも、コロナを必要以上に恐れている人たちも、そこが一致しないと無意味な分断はいつまでも収束しないと感じています。

例えば、どういう状態になれば新型コロナが終息したと言えるのか?

もちろん患者が世界中から一人も出なくなれば確実に終息したと言えるでしょうが、人類史上、根絶できた感染症は天然痘が唯一のものです。それと同じになるという可能性はかなり低い。
その他にも麻疹などは昔に比べて激減していますし、日本では定着したウイルスがいないと言われていますが、海外から入ってきて広がる事例は今でもあります。
つまり鎖国でもしなければ、感染は防げないということ。

あるいは、ワクチンが開発され、それを摂取するという対策を続けられる目処がつけば終息したと見做せるのかもしれません(恐らくそれが現実解)。
ワクチン開発のニュースは日々入ってきますが、開発を急いだということもあり、まだまだ効果については未知数という気もしてます。
例えば同じコロナウイルスであるMERS(MERS-CoV)は、まだワクチンが開発されていません。

また、後遺症について心配する人もいます。

それについても重症化する・しないと同様にマクロ的な問題と罹患した個人個人の問題を一緒くたにして考えると可能性が0になるまで問題は解決しなくて、症例や治療法を考えるのは重要ですが、後遺症が残る「かもしれない」からいつまでも心配だということにはならないと思います(心配するなというのではなく、リスクをどこまで許容できるかという問題にしていかないといけないという意味です)。

今回の緊急事態宣言を含め、海外のロックダウンでもそうなのですが、ゴールを一致させるというのは、どうなったら終わりなのか、終わっても良いのかということを決めるということでもあります。

昨年の春先には「3週間後にはニューヨークのようになっている」とか「行動を8割削減しないと云々」とかいろいろ聞いた記憶があります。

「皆が頑張っているからここまでの状況で済んでいるんだ」

という人もたくさんいて、事実、そういう要素も多いと思いますが(インフルエンザ患者数の大幅減少などはその証拠かなと思います)、逆に言えば、自粛を解除したらまた感染拡大するの?という話にもなって、いつまでも変わらないよねという結論も出てきます。
(それが、新しい生活様式ということにつながるのでしょうが…)
緊急事態宣言による行動抑制でどこを目指すのかははっきりさせたい。

結局、我々がやらなければならないのは、どこまでリスクを低減し、許容していくのかということを決め、それに対して粛々と対応を取っていくことなのではないかと思います。
変なバイアスを取り払い、正しく恐れ正しく対応すること。そしてその中でどのように生活をしていくかを考えていくことなのだと思います。

ところでもう1つだけ。
先日、テレビでよくわかってないコメンテーターが新型コロナの変異種に対して
(間違ってたらゴメンとは言ってましたが…)

「感染力が強くなると、弱毒化する傾向にある。ウイルスの生存戦略で、強毒化して宿主が死んでしまうとウイルス自体も生き残れないから」

みたいなことを言ってましたが、これは全然違う。
ウイルスが自ら考えた方向に変異することはありえないし、強い感染力で強毒化すると増殖できないのは事実だけれども、それは結果としてそうなるだけであって、感染力が強くかつ強毒化して人類が滅亡した後にウイルスが増殖できなくなるという可能性だって十分ある。あんまり変なことをテレビで言わないで欲しい。

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