界隈のコンサルティングについて

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twitterで以下のようなツイートを拝見しました。

調べてみると、元のブログはこちらのようです。

https://ameblo.jp/sonzaikan1225/entry-12562129896.html

内容を確認すると、

「億女コンサル」価格8万円!
すごい金額だが、それを自分に投資してもいいと
思える人たちだけが集まるという意味で覚悟が問われるのである。

価格8万円が高いか安いかは、絶対額ではなく、その内容によって異なると思うのですが(笑)、まあ、多分、このコンサル(笑)のターゲットになっている人たちからすると安くはない金額なんだろうなぁとは想像します。

で、twitterに戻ると、ツイートしたカモシカさんは

確かに洗脳には見えず、「冷静に見た私の視点」のように見える

ということを呟いています。

想像するに、気になられたのはこちらの部分かなと思う。

ひと通り話したら、八木さんは必ず
「どうします? これから」とその人に問う。
答えを出すのは、あくまで本人であり、
そうでないといつまでも人任せの人生になるのだ。
これのどこが「洗脳」なんでしょうか。
あくまで自立へ向かわせるための助言に
留めていることがお分かりいただけるだろう。

まあ、なかなかビミョーですよね(笑)。
予てから、僕のブログの中では、脳内補完の話やハイコンテクストな集団の話を書いていますが、はっきりとしないモヤっとした言葉から受け手が勝手に答えを見出すことの問題点について述べています。

珍しく(笑)ブログにコメントがあり、その内容にちょっと思うところがあったので書いてみる。 コメント内容の一部を引用させてもらうと 元...

この手法は、占い師なんかがよく使うコールド・リーティングの手法にもつながるのですが、こちらで紹介された「どうします?これから」と問う手法に関しては、その域にすら至っているかどうかすら不明で、自分の言葉に自分を縛らせ(自分で決めたと思わせる)、その実、巧みに思考を誘導するという点で、やはり洗脳の手口と言って良いと思います。
もう少し補足すると、このコンサル(?)の中で、ある参加者に対し

その人の自分勝手な発言の連続に、ついに天誅がくだった。
「あなたは、もう帰ってください。あなたのせいで、
ここにいる他の人たちの時間を無駄にしているんですよ。
わかってます? あなたに言ってるんじゃないんですよ。
あなたの魂の声を代弁しているんですよ。
自分のこと、かわいそうだと思わないの?」と。

(中略)

「もう時間の無駄だから、ここにいる人たちの
霊視能力を見たくて問してたんです」と語る八木さん。
なんとも大人である。

とこき下ろしたとのこと。

集団の中で貶められる。
それを目にした他の参加者は、自分が同じ目に遭いたくないと、本心とは異なっていたとしても集団の支配者(このなかでは、コンサルしている女性=ヤギさん)の意に沿うような答えを発するというのは、完全に洗脳の手口と言えるでしょう。
(人は、病的な嘘つきでも無い限り、自分の発した言葉に多かれ少なかれ縛られます → 一貫性の原理


さて、今回紹介した内容ではコンサルという言葉が使われていますが、コンサルタントと聞いた時、どのような印象を受けるでしょうか?

今の時代、猫も杓子も「コンサルタント」を名乗り、誰でもコンサルタントを名乗っています。
例えば、私はIT系、経営系のコンサルタントをしていますが、世の中で「ITコンサルタント」を名乗っている人のサービス内容を見ると、
「それ、ただのパソコンサポートだろうw」
というような人も少なくないです。
まあ、コンサルタントの定義を「問題解決してくれる人」とすれば、コンサルタントと呼べなくはないですが…。

今の世の中、本当に多くの種類のコンサルタントがあります。
昔からよくある

  • 経営コンサルタント
  • 投資コンサルタント
  • 建設コンサルタント
  • ITコンサルタント
  • キャリアコンサルタント

などなど…。

その他にも、夜景コンサルタントとか、お菓子作りコンサルタントとか、個人の趣味に関わるようなことまで、コンサルを名乗っている人もいます。
まあ、ニッチ市場を狙ったり、オリジナリティーを出すのは悪くは無いですが、少なくとも、クライアントからお金を頂いてサービス提供するのであれば、サービスの質と費用と責任感は持って頂きたいと思います。
(「コンサルタント」とひと括りで見られることもあるので、いい加減なコンサルが増えると結構迷惑…)

世の中でこんなに自称「コンサルタント」が溢れ出したのは、藤井孝一さんの「週末起業」という本が出版されてからじゃないかな…と思っているのですが、それ以来、趣味的にコンサルを名乗る人が増えた気がします。

まあ、それはちょっと置いといて、コンサルタントってどういう仕事をするのかと言えば、色々な意見はありますが、一言で言えば、上にも書いたように

「クライアントの問題を解決する」

ということになるかと思います。
でも、それじゃあ、例えばお腹が空いている人に対して、料理を作ってあげるシェフがコンサルタントか?と言われれば、それはちょっと違うと言う人が殆どでしょう。
何かを代わりにやってくれる何でも屋みたいな人もちょっと違う気がしますよね。

要は、単に仕事を代行したりするというのではなく、専門的知識をもって、クライアントに対して助言・指導するような仕事がコンサルティングであり、コンサルタントの仕事と言えそうです。つまり、あくまでも主体はクライアントとなるというところがポイントと言えるでしょう。

まあ、実のところ、割ともやっとしていて、曖昧な部分も多いのですが(笑)、もう少しだけ整理してみます。

クライアントに対する助言、指導といったときに、その方法も大別できます。

一つは、一般的な知識そのものを提供すること
もう一つは、クライアントの状況に応じて、個別の課題整理を行い、解決方法について助言していくことです。

前者は一番、簡単で安易なやり方なので、本やテキスト、ビデオ教材などにしやすいです。単なる情報提供ですから。
(でも、これをもってコンサルを名乗っている人も多いですし、本当に希少性の高い情報であれば、需要はあるでしょう。また、労働集約型のコンサルティング作業からは解放されますので、多くの人に自分の持つ価値を提供できる可能性はあります)

後者が、一般的にイメージできるコンサルティングと言えるかもしれません。
こちらは、個々のコンサルタントに寄り添い、課題を解決していく一方で、知識も経験も実力も、コンサルティングの時間も必要になります。

実際には、どちらか一方というよりもそれらの組み合わせによってクライアントへの助言・指導をすることが多いでしょう。

ちなみに、中小企業庁で出している「平成26年改正小規模事業者支援法の実績」の中では、

一人の経営指導員がコンサルティングできる企業数は有限である以上、支援できる企業数が本来規定されるが、それを加味しないで作成された経営発達支援計画が存在し、十分なコンサルティングができない(ひいては、伴走型事業の効果がでない)、あるいは、経営指導員の業務過多という結果につながっている。

ということが言われています。https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/syoukibokihon/2018/download/181220syoukiboKihon02.pdf

つまり、当然のことながら、一人ひとりのコンサルが「しっかりとクライアントに寄り添った」コンサルティングをするにはどうしても数の限界があるということです。

そういった意味で、僕は世のなんちゃってコンサルが

「3年間で2000件以上の問題解決をしてきた実績」

とか謳っていたとしても、それは全くと言っていい程、信用していない(カウンセラーだったら、更に信用しない)。
そんなことができるのは、適当なコンサルしかしていないか、ごく一部の天才コンサルで参考にならないと思うから(笑)。

ちょっと話が逸れました。せっかくなので、もうちょっと詳細に見ておきます。

NLPでは、ニューロ・ロジカル・レベルと呼ばれる

「人間が物事をどのように捉えているのか」

を説明するためのモデルがあります。

ニューロ・ロジカル・レベル
これをちょっと、コンサルタントという仕事に当て嵌めて説明してみます。

一番下位にある「環境」レベルでは、人は、周りの情報(場所、時間、人、物)などについて認識します。
このレベルで課題を抱えているクライアントは、自身を取り巻く環境について認識していないため、使えるもの(使った方が良いもの)がきちんと使えません。
クライアントがWhere、When、Whichなどを認識できていない状況です。
これに対して手助けする人は「ガイド」と呼ばれる人です。
上に書いたように、主に情報提供をする人。
僕のやっているような仕事だと、例えば「何月から、こういう補助金の募集が始まりますよ」とかのお知らせとか。
旅行のガイドさんとかを考えると、どこをどう訪問すると、どういうお城があって、どういうイベントが開催されてますよとか教えてくれるような感じです。

次のレベルは「行動」です。
このレベルで課題を抱えるクライアントは、自分が何をすれば良いかわかっていない。
部屋を片付けるには掃除機があることがわかっている(上の環境レベルでの認識)だけではなく、「掃除をする」という行動レベルが変わる必要があります。
例えば、売上を上げたい営業マンがいたとします。
「環境」レベルでは、「どこそこ地区に見込み客となりそうなお客さんがいますよ」とかをガイドしてあげたとしても、「わかりました!!」というだけでは、実績は上がりません。
実績を上げるには行動が必要なのです。
実際に営業活動をしてこそ実績が上がる可能性がありますし、行動を起こすことによって、見込み客が実際の顧客へと変化していきます。
ここでクライアントが認識できていないのは何(What)をしなければならないかということです。
このレベルでの手助けをする人が「コーチ」です。
一時期(今でも?)、よく聞くようになったコーチングという手法は、このコーチが行う支援です。
クライアントに対して、自ら持っている知識や無意識的に持つ目的・目標を引き出し、行動に結びつけるための支援がコーチングであり、コーチの役割と言えるでしょう。
なので、業務等に関する専門的な知識を教える・伝えるというよりも、クライアントから上手く引き出して気づきを促すというのが大きな役割と言えます。

今回の記事のきっかけになった八木さやさんがコンサルと称してやっているいることは、これに近いのかなという気がします。
(僕がその場で見ていたわけではないので、あくまでも想像です)

「どうします? これから」とその人に問う。
答えを出すのは、あくまで本人であり

というところがそれ。
それはそれで、場合によっては必要なことではあります。
実際、僕もコンサルを育成するための研修のインストラクターをするのですが(余談ですが、受講費用はヤギさんのコンサルティング費用8万円より、ずっと高いです(笑)。まあ、研修の日数は6日間+eラーニングという内容ですけど。自分が受講した時代は15日間あって、更に高額でしたw)、その際に、受講者に「答え」を教えるわけではなく、受講者自身に考えさせることを実施しています。
→ グループワークで行うケース研修なので、受講生同士で意見を出し合い、戦略を立て、どのような方針で支援し、リスク管理等を行っていくか考えます。
研修中は、ついつい「こうした方が良いんじゃない?」とか「こういう見方もあるんじゃない?」みたいなことを言ってしまいそうになりますが、それはあくまでも受講者が出したアウトプットに対する意見や別の観点を与えるというスタンスで話すように気をつけています。
ちなみに、一通りアウトプットが出た後は、それに対する評価をしたり、一応の検討例(答えではないです)を提示して、必要なことを伝えていくというやり方です。

話を戻します。

下から3段目のレベルは「能力」です。
行動レベルで、何をしたら良いか理解したとしても、具体的にどのように(How)動いたら良いのかわからなければ、やみくもに間違ったやり方で動くことになりかねませんし、それがわからないがために、動くことができないということも多々あります。
支援者は、ここでは、下のレベル「行動」を実践するためのスキル、能力、知識を伝えていくことになります。
これを支援するのが「ティーチャー」と呼ばれる人たちです。
ここでは、当然、専門知識や経験が必要ですし、教え伝えるための技術も必要になってきます。
そして、ここで「どのように」動けば良いかがしっかりと伝えられれば、クライアントは正しく動くことができるようになります。

一般的に「コンサルタント」と呼ばれる人は、ここまで説明してきた「ガイド」、「コーチング」、「ティーチング」の全てを実践する必要があります。

コンサルタントとしての仕事は、取り敢えず、ここまでのことができれば最低限の責任は果たせるかなと思いますが、ニューロ・ロジカル・レベルに関して、もう少し説明を続けます。

次のレベルである「信念・価値観」は、自分が何故(Why)、その行動をするのか?
といったことに関連します。
要するに自分の行動の理由付けです。
それが意識できていないと、いくら知識や能力があったとしても自発的に動くことはないでしょう。
例えば、「自分は世の中の犯罪者を取り締まるために」警官になりたいとか、「病気で困っている人を救うために」医者として患者を助けるなどです。
その他にも、いろいろな信念・価値観は、ひとそれぞれ持てるでしょう。
そこに対して、支援したり影響を与えるのが「メンター」と呼ばれる人です。
この言葉もよく聞くようになりましたが、単に「メンター」って言いたいだけだろ(笑)って思うことも少なくありません。
まあ、それは置いといて、自分の生き方・価値観に影響を与え、生き方を変える、目的・目標を与える人がメンターです。当然、生き方に大きな影響を与えますし、場合によっては人生そのものを狂わせることにもなりかねません。

ここまでの説明でおわかりでしょうが、上位レベルの認識に変化が起こると、自ずと下位レベルにも影響があります。
例えば、信念・価値観が明確になれば、それを実現するために知識を身につけようとするでしょうし、行動も変わり、環境についても調べることでしょう。

最上位レベルは「自己認識」。自分が何者なのか(Who)という認識です。
「自分がどんな人間なのか(なるべきなのか、なりたいのか)」
「自分がこの世界で何をすべきなのか」
というアイデンティティーの確立とミッション(使命)の認識といって良いでしょう。
そこに対しての支援は、スポンサーシップ(後見)と呼ばれます。
スポンサーというと、テレビ番組やイベントのスポンサーを思い出してしまいますが、意味的には、母親の子供に対する愛情のようなものが最も近いかなと思います。
つまり、「あなたがあなたであるがゆえに、その存在そのものを支援しますよ」ということ。

何ができるから愛するとか、美人だから愛するとか、お金を持っているから愛するというのではなく、存在そのものの肯定です。
(無条件に対象の行動・行為まで受け入れるということではないです → 「相手の人格をどう評価するかについて考えてみた」を参照ください)

最近よく読ませていただいているこちらのブログ 超個人的備忘録 に「行為否定と人格否定の同一化」という記事が書かれていました。 ...

これができるかどうかで、支援対象の安心感は、全く異なります。
今どきの、所謂スピ系の教祖様たちは、本来、ここができていてしかるべきだと思うのですが、ヤギさんの言い放った

「もう時間の無駄だから、ここにいる人たちの
霊視能力を見たくて質問してたんです」

なんていう言葉を見ると、とてもそのような域に達しているとは思えないですね。
一言で言えば「小さい人間」(笑)。

ニューロ・ロジカル・レベルに関しては、本当は更に上位に「スピリチュアル」というレベルがあるのですが(この名称もどうかという気がするのですが…、僕が決めたのではないので、まあ仕方ないw)、それは個々のコンサルとはちょっとレベルが異なってくるのでここでは割愛させていただきます。
一言だけ書いておくと、アドラー心理学でいう共同体感覚に近いものと考えて頂ければ良いかなと思います。


さて、ニューロ・ロジカル・レベルに関連させた説明が長くなってしまいましたが、コンサルタントの仕事って、こんな感じかなと自分では整理しています。

自分が頼もうとしている、あるいは指導・支援を受けようとしているコンサルタントが、自分に対してどのような価値を提供しようとしているのか?ちょっと整理してみてはいかがでしょうか?
まともなコンサルタントであれば、きちんと質問には答えてくれますし、場合によってはその場で正確なことを言えなくても、後で必ずフォローしてくれるはずです。

以前から、このブログでは、コンサルタントやカウンセラーの仕事は、視野を広げ視座を高めることだということを書いています。

「これしかない」「これが正しい方法」

と、視野を固定させてしまい、依存度を高めてしまうのはコンサルタントとしてどうかなーと思います。
(上に色々と説明を書いてきましたが、それは「コンサルタント」とはこうでなければならない!と考えてしまう側にも同じことは言えます)

既に払ってしまったコンサル料があったとしたら、サンク・コストの罠に嵌まらないよう、今後も頼んだ方が良いのか、今まで支払ってしまったコンサル料は諦めて将来に目を向けた方が特なのかは、時々、考え直してみた方が良いです。

とにかく、自分で考えるという習慣をつけるということは大切なことだと思います。

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