ホリエモンと餃子店とコミュニケーションについて

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こういうことを書くと炎上する可能性があるが、考えの整理のために敢えて残しておこう。

ホリエモンこと堀江貴文氏が、餃子店に行き、同行者の一人がマスクを着用していなかったために入店を断られ、それを堀江氏がSNS書き込んだことから、店に嫌がらせの電話が殺到し、店が休業に追い込まれてしまったというもの。

休業に追い込まれた店は本当に気の毒だし、無言電話や脅迫電話をかける輩は逮捕されて良い。業務妨害だし犯罪だからね。

この件で、「堀江が悪い、けしからん」という声がネット上にたくさん挙がっているが、個人的には、それはちょっと違うのではないかと考えている。

現場を見ていたわけではないので、報道等で確認するしか無いのだが、餃子店と堀江氏の言い分は食い違っている。

まず、餃子店の店頭に「マスク未着用の方お断り」と書いてあったらしく、堀江氏の同行者の一人がマスクを着用していなかったという事実。

これに対して、堀江氏の言い分は、店に従う前提でどこまでの着用ルールか確認していたと言うし、店側の言い分ではクレーマーがゴネて声を荒げたと言う。

どちらが本当かは、先程も書いたように、僕は現場にいたわけではないからわからない。

しかし(これは想像だが)恐らくは、話が噛み合っていなかったのではないかという気はする。

「マスク着用はどうすれば良いのか?食べている間(食べ終わるまで)は外していて良いのか?料理を口に入れるときだけマスクをずらして食べれば良いのか?」

のような質問に対して、

「マスク未着用の方は入店できないんです」

のような答えだと、会話が成り立たないだろう。

(ちなみに『口に入れるときだけずらす』なんていうのは、自分からするとバカバカしすぎるしめんどくさいことこの上ないが、実際に、神奈川県の黒岩知事なんかはそんなことを言っていた記憶があるから、そういう対応の店もあるかもしれない)

もし、そういう噛み合わない会話の中で、聞き返しているうちに店主さんが出てきて

「めんどくさい客はいらないから帰ってくれ」

と言われたらカチンとも来るだろう。
もちろん、店側にも客を選ぶ権利はある。めんどくさいから帰れと言われれば帰るしかないし、それでも騒いで店に居続けるなら、それはクレーマー以外の何者でもないし、業務妨害になり得るだろう。
一方で、帰ってくれという対応をとった時に、相手側からの評価が低くなることは当然、店側としても覚悟は必要で、それは相手が有名人であってもそうでなくても同じ。
食べログやぐるなびなどのサイトに書き込まれる可能性もあるし、今回の騒動のようにSNSに書き込まれる可能性もある。

考えてみると問題はいろいろとあって、

店側としては、「食事の間は外して良いです」とか「口に入れるとき以外はずっとつけててください」とか答えれば、それで済んだのだと思う。

世の中には

「そんなことくらい言われなくても察しろよ」

という人間はたくさんいるのだが、そんなことはない。
それくらい常識とか、あたりまえとか、マナーとかいう人間に限って、単なる身内だけのルールでしかないというのはよくあること。

僕は今までもブログなどで書いているが、人と人はわかりあえないのが当然で、だからこそ言葉を尽くしてコミュニケーションを取っていく必要があるのだと思う。
(まあ、今回の場合、もし、店が混んでいて余裕がなければ気の毒だとは思うが、上のように対応しても1分もかからないだろう)

以前書いたブログの中で

自分が発した言葉に責任を持たず、理解してもらうための技量もなく努力も放棄する。

ことの問題について書いたことがあります。

超忙しくて(年度末進行なので今もですが)、暫くブログから遠ざかっていました。 twitterは、定期的に覗いているのですが、この前、黒猫ド...

今回に関して言えば、マスク着用について要請するなら、その質問に対してしっかりと答えられるようにしておくこと。

また、ハイコンテクストな集団について書いたこともあります。

珍しく(笑)ブログにコメントがあり、その内容にちょっと思うところがあったので書いてみる。 コメント内容の一部を引用させてもらうと 元...

日本は比較的ハイコンテクストな文化と言われていますし、恐らくは上に書いたように

「マスク着用って言ってるんだから、それくらい察しろよ」

という人も多いだろうと想像はできます。
(実際、同じような状況では、さっさとマスクをつけてその場を収めるか、店に入らない人が多いでしょう)

しかし、そうではない人のことを単に排除してしまうという動きは、少し考えると凄く怖いことです。
ある集団の中に属する人は、和を乱しかねない異分子を排除しだします。
もちろん、集団に害を及ぼしかねない人に対しては、何らかの対処が必要ですが、同一性が高すぎる集団の中では、単に自分たちと異なる存在と言うだけで異分子を排除し始めます。
これだけ、世の中で「多様性」とか「ダイバーシティ」とか言われている状況でも同じです。
(それが常識とかマナーという言葉で、なんとなーく許容されてしまうところが怖いところです)
恐らくは、そういうことを言っている側が自分自身でも気づいていない全体主義、ファシズムへとどっぷりと浸かっている可能性がある。

さて、堀江氏に話を戻すと、彼にも問題がなかったわけではなくて、SNSに店名が特定できるような情報を書く必要があったかどうかと言えば、それは無かったかもしれないとは思います。
しかし、一方で、今どきは先程書いたように、ぐるなびや食べログなどのグルメサイトもあるわけで、そこに「この店ではこういう対応をされた」ということを書かれるのは避けられませんし、店に対する批評というのも、嘘を書くのでなければ、表現の自由であり本人の権利の範疇だとは思います。
(むしろ、こういうことで言論封鎖するような動き・考えの方が問題だと思います)
一つ言うなら、彼には、自分(堀江氏)自身ではコントロールすることのできないアホな信者がたくさんいるということは想像した上で書き込みをすべきだったのだろうとは思います。

ただ、だからといって、彼の取り巻きの行動の責任を彼が取らなければならないわけではないでしょうし、それで堀江氏が悪いと断ずるのもちょっと違うと思うわけです。

さて、同様の話は、先日、パクチー泥棒に遭ったつるの剛士氏と彼の発言を「差別的」と言った米山隆一氏の件でも出てきます。

詳しくは以下のブログを読んでいただきたいのですが、

先日、つるの剛士さんのツイートに変な人達が噛み付き炎上した。 元のツイートはこちら うちの畑も最近パクチーやられました(現行犯でした...

つるの氏に噛み付いた米山氏は、つるの氏の発言が差別的で差別を助長すると言っている。

僕は全然、そうは思いませんが、100歩譲って、つるの氏の発言から外国人は犯罪を犯すという謎の連想を生む人間がいたとしても、非難すべきは不当な差別をしている人間であって、「外国人は犯罪者」などという差別発言をしているわけではない つるの氏が責められる謂れはない。
これと同様に、今回の堀江氏のSNS書き込みに関しても責められるべきは、アホな営業妨害電話をした輩であって、堀江氏が「こんな店潰してやれ」とか「皆で電凸しよう」などと扇動したならともかく、そうではないにも関わらず「堀江が悪い」というのはどうだろうということは考えた方が良いだろうと思います。
(とはいえ、先程書いたように、本人は自分の影響力を配慮した方が良かったとは思います)

これって、実は他にもいろいろと考えるべきところがあって、例えば、マスクをしていなかったのが成人ではなく、赤ん坊だったらどうだったのか?
そのことに対して質問されたらどういう対応をしていたのか?
もし、店側がその赤ん坊にも「マスクをしていないと入店できないんですよ」といって、入店拒否され、それをSNSに書き込まれたら世間はどういう反応だったか?

「めんどくせーなー」と思う人もいると思いますが、思考実験ってこういうことです。
あらゆる事態を予め想定するというのは無理ですが、対応する必要はあります。
「マスク着用」というのが、他のお客様に不安感を与えないためという店の方針なら、極端な話、それを伝えて「食事中のマスクの着用はお客様におまかせします」でも良いでしょうし、赤ん坊はつけなくても良いです、と伝えても良いでしょう(小さな子どものマスク着用は推奨されていません)。でも、それでもマスクをつけろとか騒ぎ出す阿保もいるので、そのようなときにどう対応するのか。などなど。

考え出すと難しいですよね。

何はともあれ、人の行動を判断する場合は、ダブルスタンダードになることは避けるべきだし、自分の主観にだけ基づいた判断になっていないかどうかには気をつけた方が良いと思います。

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