少し陰謀論絡みの記事が続いたのでちょっと書いておこう。
先日のアメリカ大統領選の関係もあり、陰謀論を語る人がやたらと目につくようになってきた。
陰謀論自体は、昔からいくらでもあり、それを信じてしまう人も一蹴する人もいろいろいたのだが、インターネットの発達・普及によって情報の拡散スピードが昔とは比べ物にならないほど速くなったことと、信憑性の検証がなされないままに伝わる情報が多くなったこと。そして、誰もが簡単に情報発信できるようになったことで、陰謀論に触れる機会も多くなってきたのだろう。
インターネットが普及し始めた20年程前から、情報の取捨選択をするためのスキルの重要性については語られてきているのだが、改めて考えてみたい。
陰謀論に騙されないためには
「思い込みを捨て、多角的な視点から物事を見る」
ということに尽きる気がする。
まずは、「事実を事実のまま認識する」ということがスタートとなる。
(それは、全く別のテーマを扱った記事ですが、こちらにも書いてあります)
結論ありきの色眼鏡で世の中を見ないこと。
自分の見ている事実を他の視点から見るとどのように見えるかを想像してみること。
特に、全体を俯瞰してみることは大切。
その原則を頭に置いた上で、目にし、耳にした「新事実」について、その信憑性を熟考してみること。
歴史的・政治的・社会的な陰謀論であれば、社会を裏で操り謀略を張り巡らせるような力を持っている勢力が、なぜ自らの秘密を暴露されるようなヘマをするのか?情報の流出を止められないのか?むしろ流言飛語の方がコントロールされた情報かもしれないという可能性はないのか?など。
そんな秘密をなぜ自分が知ることができたのか?
トンデモ科学であれば、なぜそれが評価されていないのか?
多くの人の目に触れ、語られていることは、それだけ多くの人の批判にさらされながらも生き残っている内容だという事実は重要視すべき。
もちろん、衆愚政治や悪貨は良貨を駆逐するといった言葉があるように、多数の意見が必ずしも正解であるとは限らないが、人は「自分の考えは間違っているかもしれない」という謙虚さをもって自分の考えを構築していくべきだろうと思う。
以前、こちらの記事でも説明したが、人は正しいことはわからなくても、間違っていることは判断できる。
人間は、自分の理解できる範囲でしか世の中を認識できない。
下のような図を考えてみよう。
全体を見れば円でないことは明らかなのだが、全体を見ることができない人間は、一部だけ見て全体が円なのだと短絡的に判断してしまう。
先程も書いたように、別の視点をもってみることができれば、全体を見渡すことができなかったとしても円ではないということは判断できる。
正しいことは判断できなくても、正しくないことは判断できるのだ。
しかし、謙虚さがなければ、円ではありえない角を見せられてもそれを受け入れず「陰謀」や「正しい情報が隠されている」という言葉で、認識を変えようとしない。
もうひとつ陰謀論にハマりやすいパターンは、知識の不足によって、正しい情報が与えられても理解できない場合。
例えば、道が交差している場合。
下のような図を考えると、縦のルートと横のルートは必ずぶつかってしまうように見えるし、2次元的に考えるとそれは正しい。
しかし、3次元的に考えるとそれは必ずしも成り立たず、縦横がお互いに交わることなく進むことだってありえる。
より高い視点から物事を見ると、今まで理解できなかったことが理解できるようになるということ。
ある人が東京にいるということと、大阪にいるということは「時間」という次元を考えなければ矛盾し嘘になるが、今日は東京にいて、明日は大阪にいるということは普通に有り得る。
理解できないときは、より高い視座から物事を見るということが理解の手助けになることがある。
(これを陰謀論の言い訳に使われると、それはそれで問題なのだがw)
ここ何度か、Mさんのことについて書いているが、実は彼女の言葉の中に、人が陰謀論に囚われる原因が明確に現れている。
“私は「偶然」というものはなく、起こるできごとのすべてが「必然」だと思っています。ですから、事故が起こるのも「必然」、残虐な殺され方をするのも「必然」、阪神大震災も「必然」です。すべてが因果の法則にしたがって起こっているということです。”
「世の中に偶然は無い」という思い込みが陰謀論にハマる一つの原因であることは確かで、人は物事に何らかの原因を探したがり、気に入らない(理解できない)偶然に対しては、点と点を無理やりつなぎ始め、それが陰謀論を生むひとつの要素となっている。
アインシュタインが
「神はサイコロを振らない」
と言って、量子力学に否定的だったのは有名な話。
因果律が存在せず、現象が確率的に起こると世界があるということは、一見、人の感性とは異なるところがあるし、今後の科学の発展により、また違った見解が出てくる可能性も否定はできないが、ミクロの世界にしろ、我々が住んでいる日常の世界でも、偶然を偶然として受け入れることも必要で、人智の及ばない範囲で、何が起きているかについて考えてみることも大切だが、世の中が誰か特定の存在の意思に基づいて動いている可能性がどのくらいあるのかについては考えた上で、自分が考えている陰謀論が正しい可能性について考えてみた方が良いと思う。
コメント
こんにちは。たまたま何かを検索した流れでこのブログにたどり着き、興味深く拝見しました。もしいつか気が向かれましたら、松丸政道さんという陰陽師で物理学博士の方が、量子力学を根拠に引き寄せの法則的な事を教えていらっしゃるようなので、それについて書いていただけらうと嬉しいです。
実梨さん、はじめまして。こんにちは。
コメントありがとうございます。
放置になってしまっていてすみません。
コメントにあった松丸政道さんについて、全然調べていないのですが、プロフィールを見て、東大大学院卒の博士とあったので、そこについてだけ調べました。
現在、国内の博士論文は国会図書館に保管されることになっていて、オンラインでも検索できるようになっています。
松丸政道というのが本名かどうかはわかりませんが、松丸政道でも、Masamichi Matsumaruでも、博士論文は検索されませんでした。
「博士」っていうだけで、こういうのを信じちゃう方はエビデンスがなくても権威を感じてしまうものなのでしょうか…?